惣菜店、弁当店、菓子店、ベーカリー…開業に必要な準備まとめ

飲食物を取り扱う業態は、弁当店、惣菜店、菓子店、ベーカリーなど多岐に渡ります。自分の味でお客様を笑顔にする魅力的な仕事ですが、開業時には設備の準備や資格取得などが必要不可欠です。多くの飲食店で共通して求められる必須資格に加え、各業態ごとに必要な資格もあります。本記事では、さまざまな飲食業態を開業する際に必要な資格や設備について、具体的に解説していきます。

目次

飲食業態の開業で求められる資格

弁当店、惣菜店、菓子店、ベーカリー…どのジャンルの飲食業態であっても、開業にあたって必要となる資格は「食品衛生責任者」です。また店舗の条件によって「防火管理者」の設置も必要です。まずはこの2つについて、詳しい内容を見ていきましょう。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、食品の製造や販売を行う場合に必須となる国家資格です。個人店や大規模チェーンなど、店舗の規模に関わらず、飲食店開業時には1店舗につき最低1人の配置が義務付けられています。

食品衛生責任者は、食材の扱い方や調理場の衛生環境維持に関する知識を習得するもので、食中毒防止策など、飲食店における衛生リスクの軽減につながります。店舗においては、食品衛生責任者が中心となって衛生管理を徹底し、安心・安全なサービス提供を行うことが求められるため、飲食店オーナーや店長に就く人が積極的に取得しましょう。

食品衛生責任者の取得方法

食品衛生責任者の資格は、各都道府県が実施する講習会を受講したあとに、保健所への申請を行って取得することとなります。各自治体によって異なりますが、通常は1日で終わり、料金は10,000円程度です。ほとんどの自治体で定期的に開催しています。

<講習会の内容>

  • 衛生法規(約2時間)
  • 公衆衛生学(約1時間)
  • 食品衛生学(約3時間)

講習の最後には小テストがあり、規定数を正解しないと修了できません。とはいえ、合格率はほぼ100%で、講習会をきちんと受ければ問題なく合格できるでしょう。また、栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士、食品衛生管理者等の有資格者、その他医師、薬剤師の有資格者は講習が免除となります。

防火管理者

防火管理者は、建物の防火対策を担当するための国家資格です。飲食店においては、客席数が30人以上有する店舗において、防火管理者の選出が義務付けられています。

防火管理者の主な役割は、消防計画の作成・消火設備の点検・避難訓練の実施など、火災の発生や被害を最小限に抑えるための対策をすることです。

防火管理者には、「甲種防火管理者」と「乙種防火管理者」の2種類があります。

  • 甲種防火管理者:収容人数30人以上で延床面積が300㎡以上の店舗で必要
  • 乙種防火管理者:収容人数30人以上で延床面積が300㎡未満の店舗のみ使用可能

防火管理者の取得方法

防火管理者の資格は、(一財)日本防火・防災協会にて申込を行い、講習を受講・修了することで取得できます。甲種防火管理者の新規講習はおおむね10時間となり、2日間に渡って開催されます。一方で、乙種防火管理者の講習は1日のみで取得可能です。料金は甲種新規講習が8,000円(税込)・乙種講習が7,000円(税込)です。詳細は一般財団法人 日本防火・防災協会を参照ください。

飲食店の開業に必須なのが「飲食店営業許可申請」

一般的な飲食店に共通して必須となるのが、飲食店営業許可です。2021年6月に制度改正により、それまでは別で設けられていた「喫茶店営業許可」についても、飲食店営業許可と統合されています。

深夜0時以降にお酒を提供する・お酒の提供がメインの営業形態となる場合には、「深夜酒類提供飲食店」の許可も必要となりますが、まずは飲食店営業許可申請の概要や方法について解説していきます。

飲食店営業許可申請の流れ

飲食店営業許可を取得するためには、以下の流れに沿って手続きを進めていきます。

  1. 保健所への事前相談
  2. 営業許可申請の提出
  3. 施設の現地検査を受ける
  4. 営業許可証の交付

保健所の検査に合格するためには、さまざまな要件があり、自治体ごとに異なるローカルルールも存在します。店舗工事が完了してからでは、万が一指摘を受けた場合に余計なコストや時間がかかります。

そのため、まずは施設の工事着工前に図面などを持参し、管轄保健所の食品衛生担当者に相談へ行きましょう。図面に問題がないことの確認をした上で工事を開始し、施設完成予定日の10日前を目安に必要書類を揃え、営業許可申請を提出します。

「営業許可証」の交付には日数がかかりますので、事前相談や検査の際に確認し、オープン日を調整するようにしてください。

営業許可申請に必要な書類

営業許可申請に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 営業許可申請書:管轄する保健所窓口・各自治体のホームページから入手可能
  • 営業設備の大要・配置図:着工前に施工業者から取り寄せる
  • 食品衛生責任者の資格を証明するものの原本または写し
  • 水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合のみ)
  • 登記事項証明書(法人の場合のみ)
  • 許可申請手数料

水質検査成績書は、共有の貯水槽から水を引くことが多いビルなどが該当します。申請書類の提出は施設完成予定日10日前が目安となりますので、間に合うように管理会社や大家へ問い合わせしておきましょう。

また、許可申請手数料については自治体によって異なります。たとえば東京都新宿区で新規申請を行う場合には、18,300円(税込)が必要となります。

注意したいのが、たとえば店舗での飲食以外に、パンやお菓子などを販売する場合は「菓子製造業許可」の取得も必要になります。また作成したお惣菜やお弁当を他所で販売したい場合は「そうざい製造業」の許可も必要となります。どのような業態を展開したいのか、それにはどのような許可が必要なのかも、保健所に問い合わせをしておくのが安心です。

お酒を出す飲食店の開業には「深夜酒類提供飲食店営業開始届」も申請

お酒の提供が目的ではない飲食店の場合には、深夜酒類提供飲食店営業開始届は必要ありません。しかし、居酒屋やダイニングバーなど、お酒の提供がメインとなり、なおかつ深夜0時~午前6時にかけて営業する場合には、必須の届出となります。

深夜酒類提供飲食店営業開始届は、管轄の警察署へ提出・申請してください。必要書類は、以下のとおりです。

  • 開始届出書、営業の方法
  • 営業所※の平面図、住民票の写し(個人営業者、法人の役員全員)
    ※営業所とは実際に営業を行う店舗を指します
  • 法人の定款(法人の場合のみ)
  • 法人の登記事項証明書(法人の場合のみ)
  • 提出指導書面

提出指導書面には「飲食店営業許可証の写し」も含まれます。手数料はかかりませんが、営業開始の10日前までが提出期限となりますので、余裕を持って準備を進めましょう。

また、深夜酒類提供飲食店に該当する店の場合、法令により住居地域等での営業は禁止されています。出店する地域や自店が該当するかどうか迷ったら、管轄する警察署の生活安全課へ相談してください。

飲食業態の営業施設における共通基準

飲食物を取り扱う業態には、飲食店営業や菓子製造業などさまざまなジャンルがありますが、自動販売機以外の全ての業種に必要な施設の「共通基準」が設けられています。

場所清潔な場所であること
建物鉄骨や鉄筋コンクリート、木造など十分な耐久性を有していること
区画調理場と客席の仕切りなど、使用目的に応じて区画分けがされていること
面積取扱量に応じたスペースがあること
タイル、コンクリートなどの材料で排水が良く、清掃しやすい構造であること
内壁床から1メートルまで耐水性で清掃しやすい構造であること
天井清掃しやすい構造であること
明るさ50ルクス以上
換気ばい煙、蒸気などの排除設備が整っていること
周囲の構造周囲の地面が耐水性材料で舗装し、排水が良く、清掃しやすいこと
ねずみ族、昆虫等の防除窓に網戸、排水溝に鉄格子など、ねずみや昆虫が調理場に入れないようになっていること
洗浄設備原材料や食品などを洗うための流水式洗浄設備・従業員専用の流水受槽式手洗い設備・手指の消毒設備があること
更衣室作業場以外に清潔な更衣室または更衣箱が用意されていること
器具等の整備取扱量に応じた数の機械器具、容器包装などを備えること
器具等の配置移動しにくい機械器具などは作業に便利で清掃や洗浄をしやすい場所に置くこと
保管設備原材料や食品、器具衛生的に保管できる設備があること
器具等の材質耐水性で洗浄しやすく、熱湯や蒸気、殺菌剤などで消毒が可能なものであること
運搬具必要に応じて防虫や保冷などができる清潔な食品運搬具があること
計器類冷蔵、殺菌、加熱、圧搾等の設備には、見やすい箇所に温度計および圧力計、必要に応じて計量器を備えること

HACCPの導入は全ての飲食店事業者が対象

2020年6月に施行された改正食品衛生法により、食品業界における全ての事業者がHACCP導入を義務付けられることとなりました。HACCPとは、分かりやすく言うと「従来よりも高い基準を持ち衛生管理を徹底させる」という手法です。HACCPに沿った衛生管理は大きく「調理環境における一般衛生管理」と「調理工程における重要な管理ポイント」に分けられます。具体的に何をしたらいいのか、以下で詳しく見ていきましょう。

調理環境における一般衛生管理

HACCPの基盤となる部分で、具体的には以下のポイントが重要な行動指針となります。

  • 従業員の入室管理(髪の毛や体調、服装など)
  • 原材料の受入確認
  • 施設点検
  • 冷蔵庫や冷凍庫の温度管理
  • 調理器具の点検や洗浄
  • トイレの清掃確認
  • 調理作業に入る前の手洗い徹底

調理工程における重要な管理ポイント

一般的な衛生管理以外にも、徹底すべき管理ポイントは多くあります。しかし「何が重要な管理ポイントなのか?」については、業態やメニューなどによって異なるため、自店の営業形態などに応じた管理を徹底していくこととなります。この際、全てのメニューを以下3つに分類すると、HACCPに沿った管理がしやすくなります。

  • 加熱しない食品(食材)
  • 加熱してすぐ食べる食品(食材)
  • 加熱と冷却をくりかえす食品(食材)

どのような料理でも必ず上記3つのうちに分類し、作業工程と可能性のあるリスクを洗い出し、注意すべきポイントや予防策をまとめておくことが重要です。例えば加熱後に冷却するものであれば短時間で温度を下げられるよう「粗熱を取るときには大鍋は小分けにして 30 分以内に 20℃以下、または 60 分以内に10℃以下に冷却する」などのルールが当てはまります。

惣菜店・弁当店を開業するために必要な設備と資格

飲食物を取り扱う業態の中でも人気なのが惣菜店・弁当店です。単身世帯や自炊の難しい高齢の方などに加え、調理された食品を買ってきて自宅で食べる「中食」が一般的になったことで、ニーズが高まっています。また惣菜店・弁当店の場合、店舗で飲食を提供する飲食店と比べると、飲食スペースを用意する必要がない、接客・食器洗浄のための工数が不要、など、小規模で営業しやすい点もメリットとなります。

この項目では、そんな惣菜店・弁当店を開業するために必要な設備や資格について見てみましょう。

弁当販売の運営スタイルは3種類

飲食業として弁当を販売する運営スタイルは、大きく3種類に分けられます。

  • 店舗型
  • キッチンカー型(移動販売)
  • デリバリー専門型(ゴーストレストラン)

それぞれ必要な設備が異なるため、細かく見ていきましょう。

店舗型

必要な資格・届出食品衛生責任者
飲食店営業許可
防火管理者(店舗条件による)
必要な設備冷蔵庫
扉付き収納
厨房内の手洗い器
2槽シンク

店舗型のお弁当屋さんを開業する場合には、厨房設備が必須となります。細かい厨房機器はメニューや廃棄管理、調理担当者の導線などにより異なりますが、上記表内にある4つの設備は、保健所検査で必須なものです。

まず冷蔵庫・2槽シンクについては、管轄の保健所によって細かい規定が異なります。例えば、冷蔵庫であれば外側で庫内温度が確認できることが必須だったり、シンクは食材用と器具洗浄用を分ける必要があるため2槽が必要となります。地域ごとに数や寸法に規定がありますので、必ず事前に確認をしてください。

また、厨房内に設置する手洗い器については、基本的にL-5とされるサイズ以上でレバー式やセンサー式など「洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること」などの規定があります。スペースやコスト削減だけを優先してしまうと、保健所の許可が下りないリスクがあるため、サイズや機能の確認はしっかりと行いましょう。

キッチンカー型(移動販売)

必要な資格・届出食品衛生責任者
飲食店営業許可
防火管理者
必要な設備換気扇
シンク
給排水設備
タンク
間仕切り
冷蔵庫・冷凍庫
扉付き収納棚
照明設備
ドア
給湯器
提供する窓

キッチンカーの営業許可は、出店する地域ごとへの申請が必要です。ただし、申請書類や設備基準については、2021年の法改正以降、全国で統一されています。

上記表内に記載した設備は、各保健所から飲食店営業許可を取得するために必須となるものです。中古車を購入する場合には、2021年の法改正により非接触水道の導入が義務付けられているため、既存蛇口のままでは許可が下りない可能性もあります。

また、給水・排水タンクについては、40リットル程度、80リットル程度、200リットル程度の3種類があります。例えば、2工程までの簡易な調理で使い捨て食器を使用する場合には80リットル程度でも問題ありませんが、複数工程があり大量の水を使用する調理で、通常の食器を使用する場合には200リットル程度の容量が必要です。

デリバリー専門型(ゴーストレストラン)

自宅シェアキッチンクラウドキッチン
必要な資格・届出食品衛生責任者
飲食店営業許可
防火管理者
食品衛生責任者食品衛生責任者
飲食店営業許可
必要な設備飲食店営業許可の規定に準ずる飲食店営業許可の規定に準ずる飲食店営業許可の規定に準ずる

デリバリー専門型のゴーストレストランの開業には、「自宅」「シェアキッチン」「クラウドキッチン」の形態があります。自宅キッチンでの開業も可能ですが、営業許可を取得するためには食品衛生法に基づく必要な設備を整えなければなりません。

そのためデリバリー専門型では、既存店のキッチンをそのまま利用できるシェアキッチンやクラウドキッチンなどが人気を集めています。

シェアキッチンとは、ひとつの飲食店の厨房をシェアするものです。すでに飲食業の営業許可を受けたキッチンを利用することで厨房や設備を新たに準備する必要がなく、初期費用を抑えたまま営業を開始することが可能です(営業許可はそれぞれの店舗で取得する必要があります)。

クラウドキッチンは、宅配専門の無店舗飲食店を指します。飲食店の営業許可を取得しますが、飲食スペースを持たずに調理のみを行い、飲食物の提供も宅配・出前のみで行うことに特化した業態です。クラウドキッチンの場合も、届出を行えば複数の店舗で厨房を共用利用することも可能です。

宅配事業者(「Uber Eats(ウーバーイーツ)」や「出前館」など)を利用すれば自分で配達する必要もありません。

菓子店・ベーカリーを開業するために必要な設備と資格

菓子店やベーカリー(パン屋さん)を開業するためには、営業形態によって取得しなければならない許可の種類が変わります。また、菓子製造業だけの特定基準も設けられていますので、1つずつチェックしながら抜け落ちのないように準備を進めていきましょう。

菓子製造業許可

パンやケーキ、あん類などを製造・販売する店舗の開業に必要な届出が「菓子製造業許可」です。持ち帰りのみの店舗であれば菓子製造業許可だけで開業できますが、イートインスペースを設ける場合には「飲食店営業許可」も必要となります。

菓子製造業許可の取得に必要な条件は、以下のとおりです。

  • 食品衛生責任者の設置
  • 共通基準をクリアすること
  • 特定基準をクリアすること

菓子製造業許可を取得するためには、上述の飲食業態の営業施設における「共通基準」とは別に、「特定基準」を満たす必要があります。

菓子製造業許可における特定基準

特定基準は業種ごとに定められているもので、菓子製造業許可における内容は以下のとおりです。

  • 施設および区画:施設は、製造、はっ酵、加工及び包装を行う場所、製品置き場その他の必要な設備を設け、作業区分に応じて区画すること。また、作業場以外に原料倉庫を設けること。
  • 機械器具:製造量に応じた数及び能力のある混合器、焼きがま、平なべ、蒸し器、焙焼機、成形機その他の必要な機械器具類を設けること。また、必要に応じ冷蔵設備を設けること。

東京都福祉保健局「新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ」より

包装された菓子・パンを販売するときには「食品表示」も必須

事前に包装された菓子・パンなどを販売するときには、JAS法(農林物資の規格化等に関する法律)と食品衛生法で定められた食品表示をしなければなりません。表示する内容や表示方法は食品表示法によって定められています。以下6項目が表示の基本となります。

名称食品を表す一般的な名称を記載する
・生菓子(和生菓子、まんじゅう、洋生菓子、菓子パン)
・菓子(焼菓子、米菓、洋菓子、キャンデー、チョコレート、チューインガム、油菓子、干菓子、打菓子、豆菓子、砂糖漬菓子)
原材料名「食品添加物以外の原材料」と「食品添加物」に分けて、重量順に記載する
内容量「〇〇g」「〇個」などと単位を明記して記載
消費期限または賞味期限品質の劣化が早い食品には『消費期限』、品質が比較的長く保持される食品には『賞味期限』と記載する
保存方法食品衛生法により保存基準が定められた品には、基準に合う保存方法を記載する
製造者等製造所の所在地と、製造者の氏名又は名称を記載する
東京都保健医療局ホームページより

上記以外にも、アレルギー物質や食品添加物、遺伝子組み換え食品に関する表示など、使用する原材料により、表示方法の決まりが細かく定められています。お客様が安全に楽しむために重要なものとなりますので、管轄の保健所ごとのルールを必ず確認してください。

菓子店・ベーカリーの開業に必要となる厨房設備例

ここまでは、菓子店やベーカリーの開業にあたり、食品衛生法上で必須となる届出などについて解説してきました。以下で改めて、必要最低限とされる厨房設備をまとめますので、参考にしてください。

<ケーキ店の場合に必要となる厨房設備例>

冷蔵庫
冷凍庫
コールドテーブル
ミキサー
ショックフリーザー
ガステーブル
洗浄機
作業台
ショーケース

<ベーカリーの場合に必要となる設備例>

冷蔵庫
冷凍庫
ホイロ
モルダー
オーブン
パイローラー
包餡器
フライヤー
洗浄機
作業台
ショーケース

惣菜(そうざい)店を開業するために必要な設備と資格

惣菜(そうざい)とは、煮物、焼物、いため物、揚物、蒸し物、酢の物といった、副食物として出される食品のことを指します。また、衣だけを付けたとんかつ、コロッケ、焼く前のハンバーグなど仕上げる前まで加工したものは「そうざい半製品」といいます。ここからは、総菜やそうざい半製品を扱う飲食業を開業するときに必要な資格や設備を見ていきましょう。

通信販売や卸売りをする場合必要なのはそうざい製造業許可

惣菜を店頭で販売する営業形態の場合に必要な届出は「飲食店営業許可」ですが、別の場所に卸売りをしたり、通信販売で運営したりする場合には「そうざい製造業許可」の取得が必要となります。例えば餃子や真空パックにしたスープやカレーなどの販売にも、そうざい製造業許可が必要です。

複合型そうざい製造業

そうざい製造業とあわせて、食肉処理業や菓子製造業を行う場合には、それぞれの営業許可を取得する方法と、複数の許可にわたる食品の製造ができる「複合型そうざい製造業」の許可申請を行う方法があります。

複合型そうざい製造業の許可取得には、施設の共通基準・個別基準・取扱食品に応じて適用される基準それぞれを満たさなければなりません。例えば「冷凍食品を製造する場合に適用される基準」には、摂氏マイナス15度以下で製品を管理できる冷凍室・保管室などが必要です。管轄の保健所によって異なりますので、自店で必要となる基準を確認してから準備を進めていきましょう。

まとめ

飲食店は、開業する店の種類や営業形態に応じて、必要となる資格や届出が変わります。共通して必要な資格には「食品衛生責任者」や「防火管理者」などがあり、飲食店を開業すると決めた段階で取得しておけるとスムーズに進むでしょう。

また、届出の基準を含む概要は、各自治体が管轄する保健所によって異なる場合があります。自店が開業するエリアの保健所のホームページを確認し、抜け落ちのないように進めていくことも重要です。

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