カフェを開業したいと考える人は多くいますが、成功には綿密な計画と準備が欠かせません。開業にはどのくらいの資金が必要で、どんな資格や設備が求められるのかを理解しておくことが大切です。ここでは、カフェ開業に必要な資金、資格、設備、家具について詳しく解説します。
拡大するカフェ市場の現状と開業の魅力
カフェ開業が人気の理由と市場ニーズ
いつの時代もカフェ開業の人気が絶えませんが、その理由として3つの点が考えられます。
シンプルで独自性を打ち出しやすいビジネスモデル
カフェは他の飲食業に比べ、ビジネスモデルがシンプルなので、基本的をおさえた上で個性を出すなど差別化しやすい特徴があります。メニューやサービス内容がある程度限られているため、運営の複雑さを抑えながら独自性を持たせることが可能です。
また、テイクアウトやデリバリーを加えることで、様々な顧客ニーズに応じることができ、顧客対象を広げられる点もメリットと言えます。
自己実現の場
カフェ開業は自分の生活スタイルや夢を形にでき、自己実現の場として魅力があります。オーナーは自分の好きなテーマやデザインを自由に取り入れ、インテリアやメニューに自分の考えを反映させることができます。創造性を発揮し理想のカフェを築き上げることで、仕事そのものに大きなやりがいを見出すことができるでしょう。
地域コミュニティとの強いつながり
カフェは地域の人々が気軽に集まり、交流できるコミュニティの場としても愛されています。日常の憩いの場として地元の人々に利用されることで、地域に根ざしたビジネスとしての魅力が高まります。
また、常連客との信頼関係が築かれやすく、オーナーは来店者と交流を深め、親近感を持って接することができます。このようなつながりを通して、地域の中心的な存在として長く愛されるカフェが増えていることも魅力のひとつです。
それでは実際に、カフェの市場ニーズはどのようになっているのでしょうか。
全日本コーヒー協会の統計によると、2021年には全国でカフェは58,669店舗存在しており、その数の多さからカフェが人気であることがうかがえます。
市場ニーズについて、2023年のJ-Net21の調査では、カフェを利用しているユーザー(年に数回以上利用する人)は78.2%と半数以上を占めており、さらには2009年調査時より10ポイント上昇しています。また、ユーザーの中でも、週に1回以上カフェを利用している人は10.4%おり、一定数のヘビーユーザーが存在することもわかりました。全国でカフェが数多く存在している理由が、この結果からも見えてきます。
カフェ1回あたりの利用金額について、同調査では「1,000円未満」が69.6%という結果も出ています。飲食店としては決して高額な金額ではないため、ランニングコストを抑えるなど営業方法に工夫が必要と言えるでしょう。
また、ユーザーがカフェを利用する基準として、「ドリンクの味や、料理・スイーツなどのおいしさ」(33.1%)、「店内の使いやすさや居心地の良さ」(24.8%)が半数以上を占めています。トレンドをおさえていたり自分の嗜好にあったカフェであることや、サードプレイスとしてくつろげる空間であること、ワークスペースとしての環境が整っていることなど、カフェに求められることはさまざまです。
ファストフードとは異なり、提供スピードや低価格についてはそれほど重要視されていないこともわかります。この点はカフェ開業において、参考にすべき重要なポイントと言えるでしょう。
カフェ業界の特徴と今後の展望
カフェ業界はコロナ禍の影響を受けながらも利用率は高く、今後も積極的に利用する意向を持つ人は72.3%にのぼります。安定した顧客基盤を持つ点は、事業者にとって心強い材料となるでしょう。
一方で、回転率向上のための施策や業務効率化、人件費の抑制、コーヒー豆の高騰、大手チェーン店進出による競争激化など、経営存続のための課題もあります。
カフェについて、ユーザーからは「おいしいコーヒーが飲みたくなる」「ゆっくり過ごせる癒やしの場所」「気軽に非日常を味わえる」などの声があがっているのに対し、非ユーザーからは「コンビニでもおいしいコーヒーが飲める」「割高感がある」「田舎なので喫茶店がない」といった声があがっています。
カフェ開業にはターゲット層に合わせたオリジナルのコンセプト設計が大切です。解決すべき課題と伸ばすべきポイントを吟味し、差別化を図りカフェを開業することが、今後重要となるでしょう。
カフェ開業に必要な資金:初期費用と運転資金の内訳
カフェ開業にあたり必要な資金として、開業時にかかる「初期費用」と、経営していくための「運転資金」があります。それぞれどのような費用があるのか、詳しく見ていきましょう。
初期費用の内訳(物件取得、工事、広告宣伝、仕入など)
J-Net21「業種別開業ガイド(カフェ)」によれば、個人経営のカフェ開業にかかる資金は合計約420~950万円でした。その内訳としては、次のようなものがあります。
物件取得費
物件を賃貸する場合であれば、オーナーに対する「敷金・礼金・保証金」が発生し、事業用物件では家賃の3~6ヶ月分の料金が一般的です。不動産会社に支払う「仲介手数料」は家賃の0.5~1ヶ月分というケースが多く、事業用物件には消費税も加算されます。契約時には家賃の前払い分として「前家賃」も必要で、1ヶ月分が目安ですが、事業用の場合は数ヶ月分を求められることもあります。保証会社利用時には「初回保証料」0.5~1ヵ月分の費用と、「月額保証料」が1~2万円程度発生します。
内装工事費
内装工事には、必要な設備を整える「物件工事」と、空間のデザインを整える「美観工事」があります。
物件工事には、ガス・電気・給排水・給排気などの設置が必要で、特に厨房設備などを備える場合は、配管や排気ダクトなどに特別な工事を行います。美観工事は、カフェの雰囲気やコンセプトに合わせた床や壁、天井のデザインなどにかかる内装工事費です。こだわりの度合いによって費用が変動します。
カフェの業態や店舗内の配置に応じて、不燃処理や防火認定素材の使用が必要になるケースもあります。特に調理スペースには防火性能の高い素材を使用することで安全性が確保されます。
什器備品費
カフェでは家具や食器、調理器具類の調達も必要になります。
「家具」の主な例としては、客席用のイスとテーブル、カウンターなどです。物販も行う場合や、店内を彩るための飾りを置く場合は、専用の棚もあると良いでしょう。「食器」は、皿やグラス、ナイフ、フォーク、スプーン、箸などのカトラリーが必要です。カフェのメニューやコンセプトに合わせ、どのような食器がどの程度必要かを事前に検討し、収納スペースも確保しておきましょう。「調理器具」では、鍋やフライパン、包丁、ボウルなど料理の提供に必要なものを忘れずに揃えます。
なお、什器や家具などは、居ぬき物件を活用する手もあります。居ぬき物件とは、前の借主が使用していた設備や内装がそのまま残っている物件のことです。特に厨房周りは初期費用がかさみやすいため、あらかじめ導入された状態で使えることで工事の手間を抑えられ、新たな費用を投資せずに済むため、お得です。
広告宣伝費
カフェを広く認知してもらうため、また、情報発信の手段として、ホームページの制作やメディアへの掲載、SNSの運用、ショップカードなどの販促物の制作にかかる費用が広告宣伝費です。自作するより、デザイナーなど制作のプロへ発注するケースが多いでしょう。
一般的に、飲食店の広告宣伝費は売上の5%ほどが相場です。開店時やイベントで広告費が多少増える時期は、売上の10%程度に収められるようにできると安心です。近年はSNSによる広告も増えており、予算やターゲットに合わせて広告を出せるので、調整しやすいことがメリットです。
商品仕入費
コーヒーや紅茶を提供する場合、「豆や茶葉の仕入れ」費用がかかります。産地や品質、種類によって価格が異なるため、店舗のコンセプトや顧客層に合わせた選定が求められます。
また、料理やデザートを提供するカフェでは、新鮮な「食材の仕入れ」も欠かせません。サンドイッチやケーキ、サラダ用のパン、乳製品、野菜、果物などの食材が必要で、適切な仕入れ量と頻度の調整によって、品切れや食材ロスを起こさないようにしましょう。他には、シロップやソース、スパイスなどの「調味料の仕入れ」費用も発生します。
テイクアウト対応のカフェでは、カップや容器、カトラリー、紙ナプキンなどの「消耗品」も必要です。
商品仕入費は、顧客ニーズやメニュー構成に合わせて効率よく調整し、運営コストを抑えつつ高い顧客満足度を保てるよう工夫しましょう。
運転資金の目安(人件費、賃貸料、光熱費、仕入費用)
初期費用だけでなく、開業後の運転資金も事前に計画を立てておく必要があります。J-Net21によれば、個人経営で従業員を2名採用した場合の月額費用は、約135万円とあります。その内訳は次の図のとおりです。
「人件費」はスタッフの給与や社会保険料などで、営業時間やスタッフの数に応じて変動します。「物件賃貸料」は、立地や広さによって異なり、事業継続に不可欠な固定費の一部です。「水道光熱費」は、営業時間や来店者数の増減、季節によっても変動します。食材や飲料、消耗品の「仕入原価」も毎月の支出の多くを占め、メニュー構成や季節限定商品などで金額が変わります。
これらのコストは計画的な運用でコスト削減に努めつつも、居心地の良さ、サービス、メニューなどを削減しすぎて質を損なってしまい、結果的に顧客離れにつながってしまうことのないよう、こだわるポイントと抑えるポイントをしっかり判断しましょう。
資金調達方法:融資、助成金・補助金、クラウドファンディングの活用
カフェ開業と運営には多くの資金が必要なことがわかりました。ここでは、資金を調達するにはどのような方法があるのか、3つの例をもとに詳しく解説していきます。
融資による資金調達
カフェの開業・運営資金を「融資」で調達する方法として、日本政策金融公庫(通称:公庫)の融資制度があります。この制度は国による支援で、創業実績がない場合でも審査が通りやすい点が特長です。
「新創業融資制度」では、総資金の10分の1以上の自己資金があれば融資を受けられる可能性があり、民間金融機関と比べ金利が低く、返済期間も長いという開業初心者にはありがたいメリットもあります。申し込みから融資実行までの期間も約1ヶ月とスピーディで、資金繰りの面でも安心です。
助成金・補助金による資金調達
助成金や補助金は返済不要であるため、多くの事業者が利用しています。
助成金は雇用安定や人材確保を主な目的したもので、条件を満たしていれば申請することで受給できます。補助金は事業などの支援を主な目的としたもので、管轄も国や地方自治体などさまざまあり、対象地域、内容、条件、金額などの要件はさまざまとなっています。
また補助金は助成金と違い、要件を満たしていても受給できない場合があり、申請すれば必ず受給できるというわけではありません。さらに交付(受給)が確定していても、申請した内容を実施した後に払われるケースが多いため資金計画に注意が必要です。申請から交付決定、事業着手、完了申請、補助金交付の手順とタイミングをしっかり把握しておきましょう。
クラウドファンディングによる資金調達
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の支援者から資金を集める方法です。
「All-or-Nothing」と「All-In」の2つの方式を選択できます。前者は目標金額に達した場合のみ支援金を受け取れ、後者は目標金額の到達にかかわらず支援があった分だけ金額を受け取れるという違いがあります。
クラウドファンディングのWebサイトでカフェのコンセプトや目標を魅力的に伝えることで、資金調達はもちろん、開業前の段階から、顧客となるであろう支援者との関係が築けます。支援者は支援の見返りとして「リターン」と呼ばれる特典を受け取れます。割引券など店舗への誘導となるリターンを設定することで、リピーターを増やしやすいのもメリットです。
カフェを開業するために必要な資格と申請手続き
カフェの開業には必要な資格と手続きがあります。対応が漏れていたり、期限までに間に合わなければ、店のオープンにも影響するため忘れずに対応しましょう。
「飲食店営業許可」(必須)
カフェを開業するには「飲食店営業許可」を受ける必要があります。所轄の保健所に申請し、店舗の規模や形態に応じた基準を満たしているか確認を受けることで取得できます。
具体的には、厨房や店舗の設備が定められた基準を満たしているか、客席の作りが適正かなどを、実際に店に保健所の担当者が訪問し確認します。内装工事を行う場合、計画段階で保健所に図面を確認してもらえると、スムーズな許可取得が可能でしょう。
「食品衛生責任者」(必須)
カフェを開業するには、店舗に「食品衛生責任者」を1名以上配置することが義務付けられています。食品衛生責任者の資格取得は、飲食店の衛生管理や安全性を確保するために必要で、取得するには栄養士や調理師などの資格を持っているか、ない場合は食品衛生協会が実施する講習を受講します。
講習は保健所が主催し、衛生法規や公衆衛生学について6時間ほど学びます。受講料は約1万円が必要です。講習自体は1日で完了しハードルは低いものの、開催回数が限られている地域もあるため、開業準備中に早めに申込みましょう。
開業届出書(必須)
個人事業主がカフェを開業した場合、「個人事業の開業・廃業届出書」を所轄の税務署へ提出しましょう。提出期限は「カフェを開業してから1か月以内」です。オープンしてからは慣れない業務や店の管理などで何かと忙しいため、忘れずに早めに申請してください。
「防火管理者」(場合による)
店舗内の収容人員数が従業員を含み30人以上の場合は、防火管理者の選任が義務付けられています。防火管理者は甲種と乙種の2種類があり、店舗の用途や規模、収容人数により取得する種類が異なります。
コーヒー豆の製造・加工業の届出(場合による)
令和3年6月の食品衛生法改正に伴い、コーヒー豆を自家焙煎したり、仕入れたコーヒー豆を店で挽いて販売する場合は「コーヒー豆の製造・加工業の届出」が必要となります。届出の提出先は所轄の保健所です。なお、パッケージングされたコーヒーを仕入れてそのまま販売するだけであれば、届出は不要です。
「菓子製造業許可申請」(場合による)
カフェで飲食提供に加えてパンやケーキ、お菓子の製造販売も行う場合には許可が必要です。申請先は所轄の保健所です。
カフェ運営に必要な設備機器(調理・顧客対応・清掃)
カフェ運用には設備機器の設置が欠かせません。調理設備・顧客対応・清掃設備の3つのジャンルごとに詳しく解説していきます。
調理設備
カフェの調理用設備で必要なものとして、シンク(流し)、コンロ、ガスレンジ 、調理台、冷凍冷蔵庫、製氷機、換気設備などがあります。いずれも厨房内で広く場所を占めるため、動線をさえぎらないサイズでまとめることも頭に入れておく必要があります。
シンクは食品営業許可の基準を満たす設備を準備するようにします。1つのシンクの大きさが幅45cm以上、奥行き36cm以上、深さ18cm以上、そして食材用と器具洗浄用を分ける必要があるため2槽以上のシンクが必要です 。ガスコンロは必要な火力に応じたものを揃えるのが良く、メニューに合わせて選びましょう。
冷蔵庫や冷凍庫は扉の開け閉めがしやすく、しっかり食品を保管できるだけの容量があるものにしましょう。 メニューに合わせた食材の種類、仕入れや補充の頻度などによって必要な容量が変わります。たとえばランチタイムとカフェタイムの軽食などが中心であれば小型のコールドテーブルでも十分対応可能ですが、メニューが多かったりディナーにも対応するなど営業時間が長時間の場合、大きな立形冷凍冷蔵庫が必要となる場合もあります。
製氷機はカフェでは特に欠かせない設備です。想定販売数より1スペック上のものを選んでおくと、特に夏の季節は安心です。コーヒーマシンやコーヒーミルも必要に応じて準備しておきましょう。
設備は新品に限らず、中古やリースの利用も検討できると選択肢が広がります。どのくらいの費用がかかるのか、見積りを取って事前に確認してみましょう。
顧客対応としての備品・機器設備
顧客が直接触れる食器は、カフェのイメージや料理の魅力をアップさせる大事な要素です。あまり高価すぎないもので、メニューに合わせた使い回しが効くものが理想的です。特に使用頻度の高い食器は席数の1.5~2倍の数を目安に確保しましょう。
会計機器については、レジ本体・ドロアー・プリンターがひとつになった「一体型レジ」、タブレットを利用した「アプリ型POSレジ」、商品や顧客の情報を管理したり売上分析ができる「専用型POSレジ」があります。個人カフェでは、手動で計算を行う場合もあるため、運用規模や会計方法に適したシステムを選びましょう。また、キャッシュレス決済にも対応できるよう、専用の端末を用意することも検討が必要です。
クレジットカードや電子マネーでの決済を導入する場合、信販会社・キャッシュレスサービス提供会社の審査が必要となります。審査には1ヶ月程度がかかる場合が多いので、早めに申請をしておきましょう。
パソコンや電話、FAXは、予約管理や食材の注文に欠かせないツールです。業務効率化にも役立ちますが、優先順位としては顧客に不便を感じさせないことを念頭に揃えましょう
清掃設備と衛生管理のポイント
飲食店において衛生管理は非常に大切な項目です。テーブルやカウンターを除菌できるよう、アルコールスプレーや食品衛生対応の洗剤、汚れの拭き上げにはクロスやスポンジが必要です。使用頻度の高い消耗品のため、余分に用意しておきましょう。
フロア全体の清掃にはモップや掃除機があると便利です。カフェでは細かいゴミが落ちやすいため、店にあった道具を選ぶと効率的でしょう。換気扇や排水口などの細部には小型のブラシを用い、油やゴミが溜まりやすい箇所を定期的に清掃することが衛生を保つポイントです。清掃後に出るゴミの管理では、専用のゴミ箱やゴミ袋を活用し、分別が必要な場合にはラベルを貼って使い分けると良いでしょう。
清掃用具を揃えて日々丁寧に管理できれば、カフェの衛生環境が保たれ、顧客に安心して利用してもらえる空間を提供することができます。
カフェの雰囲気を作る家具とインテリア
カフェの雰囲気は内装だけでなく、家具やインテリアを効果的に使う事でも演出できます。それぞれ選ぶ際のポイントがあるので、詳しく見ていきましょう。
テーブルと椅子の選び方
コンセプトを反映したデザインと効率性
配色やテイストなど統一感のある家具を揃えることで、空間の魅力がより引き立ちます。店のコンセプトにあったものを選びましょう。また、スペースの使い方を工夫して効率を考えることも重要です。たとえば、丸テーブルより四角いテーブルのほうが側面を合わせやすく、スペースを有効に活用できます。
メニューに合わせた高さと座り心地
デザインだけでなく、居心地の良さにも配慮しましょう。テーブルは、食事メニューが中心であれば70〜72cmの高さ、ドリンクメインなら50〜60cmの高さが理想的です。
座り心地もメニューに応じて考慮が必要です。沈み込みの少ない椅子は食事に適し、リラックス目的なら柔らかいソファでくつろぎやすさを提供できます。提供メニューに合った家具選びは、顧客満足度を高める一助となります。
照明で演出する「おしゃれ空間」
照明の種類でカフェの雰囲気をつくる
家具やインテリアを目立たせるなら、スッキリした印象を与えられるダウンライトが効果的です。カウンターや大きなテーブルには、デザインの異なるペンダントライトを組み合わせ、空間にアクセントを加えるのがおすすめです。
デザインや機能を活かす
照明のデザインはカフェの印象に直結するため、店のスタイルに合ったものを選びましょう。柔らかな丸みのあるデザインや木製の照明は、温かみをプラスしてくれます。調光機能があると時間帯に合わせた明るさの調整ができ、便利です。
コンセプトとターゲットに合わせる
ナチュラルな雰囲気のカフェにスタイリッシュな照明では違和感があるように、店舗のコンセプトやターゲット層を意識した照明にすることも大切です。店の雰囲気でカフェを選ぶ人も少なくありません。「居心地が良い」と感じられる照明を選びましょう。
明るさと色温度で空間を演出する
照明の明るさや色温度も重要で、適切な設定が居心地の良さを高めます。明るさを表す単位がルーメン(lm)、色温度を表す単位がケルビン(K)です。カフェには500〜700lmの明るさ、電球に近い温かみのある2,500〜3,000K程度の色温度がおすすめです。
レイアウトと座席配置の工夫
入りやすいレイアウトで顧客を引きつける
外に面した窓やドアから店内の様子が覗えると、雰囲気を確認できるためお客様が店に入りやすくなります。入口から座席、レジ、トイレまでの道筋をシンプルに整え、迷わないレイアウトにすることで、初来店のお客様でも安心して利用できます。なお、スタッフの動線は120cm程の幅を確保できるとスムーズです。
回転率を考慮した席配置
広さに見合った客席数は重要で、1坪あたり2席が目安です。配置にゆとりを持たせると居心地は向上する一方で、回転率は下がりやすくなります。少人数の席とグループ席をバランス良く設けたり、1人で利用しやすいカウンターや小さなテーブル席を設けることも回転率アップに有効です。
カフェ運営に必要なその他の備品と備え
設備やインテリア以外にも、カフェ運営に必要なものがいくつかあるので、紹介していきます。
Wi-Fi設置や電源のサービス設備
顧客にとって、Wi-Fiが使えるか、電源コンセントを利用できるかもカフェを選ぶ際の重要なポイントとなります。カフェへWi-Fiを設置する場合は、ゲストWi-Fi(フリーWi-Fi)を設定しましょう。家庭用ルーターではなく法人向けのものを選び、来店者とスタッフのネットワークを分け、セキュリティを強化します。また、Wi-Fiは同時接続人数が多い機器で、最新規格「Wi-Fi 6」に対応した無線LANにできると、快適な接続を提供できます。
トラブル発生時に対応してもらえるサポートが整ったサービスを選ぶと、運用がスムーズになります。設置や設定が簡単なものを導入すれば、運営側の負担も軽減されるでしょう。
電源についてはリモートワークや外出先での作業用途で重宝されますが、電源付きのテーブルを用意するなど前向きに利用を促進するのか、問い合わせや希望があれば利用できる電源コンセントを案内するのか、店での対応を明確にしておきましょう。
電源利用、WiFi利用は特に業務を行いたい顧客へのメリットにはなりますが、一方で、長時間滞在による回転率の低下、キーボードの音やテレビ会議音などによる他のお客様へのご迷惑など、経営にも関わるポイントです。どのようなコンセプトにして、どのようなサービスを提供するのか、しっかり考えておきましょう。
季節ごとの装飾やイベントに合わせたアレンジ
季節ごとの装飾やイベントに合わせたカフェのアレンジは、顧客に新鮮な印象を与え、定期的な再来店を促せます。春には花や明るい色彩を取り入れた装飾、夏には清涼感を意識したインテリアや青いトーンの小物で涼しさを演出するのが効果的です。秋には落ち着いた温かみのある配色や収穫祭に関連した装飾を、冬には暖かさや華やかさを感じるイルミネーションやツリーで季節感を出しましょう。
店内のアレンジに加え、季節に合わせた限定メニューやイベントも取り入れることで、装飾との相乗効果が生まれ、より魅力的なカフェに映ります。
まとめ
カフェ開業には資金調達から必要な資格、設備、家具と、準備すべきことが多々ありますが、事前に把握して計画的に対応していくことで理想の店舗運営に大きく近づくことができます。資金計画や店舗作りに必要なポイントをしっかりおさえて、魅力的なカフェを開業しましょう。